アパレル業界で働く方は参考になる本!
今年5月に発売された、こちらの本「誰がアパレルを殺すのか」。
内容は、売れない売れないと言われているアパレル業界の不振の原因をいろいろな視点で探る内容。
大手アパレル企業や、ファストファッション、百貨店などを例に出して紹介されています。
普通に1970年代などにも焦点を当てて紹介されているので、ファッションビジネスの歴史全体を知るにはいい本なんじゃないかと思います。
百貨店社長のインタビューもあるので、割とサラサラ〜と読めますよ。
しっかりと電子書籍化もされているので、スマホで隙間時間に読むことをオススメします。
で、この本に書かれていた一部に、「アパレル業界のセールスに重要な販売員への待遇の悪さ」も指摘されています。
アパレル業界の方も、そうでない方も、もうですに知っているでしょう。
「アパレル販売員の仕事はキツイ」ということを。
給料が安くて、ずっと立ち仕事。それに長時間、、、。
この本では、「好きだけでは続かない」と断言していますよ。
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なぜ?アパレル業界の販売員は安い給料なの?
でもなぜアパレルスタッフの年収って他の業界に比べて低いんだろう。
それに、給料のほとんどを自社ブランドの服を購入する費用するケースもあり。
実は、このアパレル業界独特なスタイルになった原因がちゃんとあるんです。
今現在、アパレル業界で働いている方も知らなかったという方がいらっしゃるかも。
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「マネキン」システムのなごり
一番の大きな理由はこれでしょう。
本の中でも語られています。
キーワードは「マネキン」。
マネキンといえば、服を着用しているショーケースに飾られている人形を思い浮かべるかもしれませんが、アパレル業界用語では、販売員を指します。
正しくは、販売員を紹介してくれる人材会社からスタッフを受け入れて、契約するシステム。
人材派遣みたいなものだと思ってください。違いは、ショップ側と直接雇用契約するところ。
人材派遣は派遣会社との契約ですからね。
で、昔から大手アパレルショップはマネキンからスタッフを募集して、人材確保をしていたんです。
20代がターゲットのブランドであれば、同じ20代のマネキンさん。
スタッフの年齢が上がれば、また違う若いスタッフを入れ替えるイメージです。
すごい悪い言い方をすれば、販売員の使い捨てをしていたということ。
今では、このシステムよりも、直接契約や派遣契約が多くなっていますが、まだまだ昔のスタイルの「なごり」があるんです。
だから、特に大手のお偉い方は、販売員という立場を軽視する傾向にあったり。
このなごりが無くならない限り、販売スタッフの待遇向上は実現しないでしょうねぇ。
誰もなれる資格いらず
また、アパレル業界の販売員って資格や学歴が無くても一応は就ける仕事でもあります。
同じようにセールスをする仕事でも、銀行マンや商社マンでアルバイトから就職とか、高卒で入ったとかって珍しいですよね。
でも、アパレル業界はいい意味でも悪い意味でも、誰もが目指せる業界。
資格なんてないですから。
なので、間口が広くて、華やかなファッションの仕事ということで、人気がある仕事だったんです。
だから比較的低い年収でも、ファッションが好きというモチベーションでやってこれた。
それが、徐々に崩れかけていて、今になってアパレル企業は人材確保に焦りが出ているということです。
本当に好きなファッションを楽しむなら、ショップで働くよりも多少嫌な仕事でも高い年収を受け取り、そのお金で好きな服を買った方がいい。
そう気付いちゃった人たちが多いこともあるかもしれません。
成績が給料に反映されない
そして、アパレル販売員の給料が安い理由。
自分のノルマを達成しても、たくさん売って成績を残しても、あまり給料に反映されないという現実です。
保険の販売員や他企業の営業マンなら、自分のセールスが給料に比例。
頑張ってたくさん売って実績があれば、その分の頑張りが給料の上昇として反映される。
でも、そのシステムがアパレル業界にはない。
ここがちょっとおかしいところ。
たくさん売って、より売上に貢献している人でも、手取りで見たら変化なし。もしくはノルマ達成として少しの手当てが出るくらい。
もしくはボーナスで反映されるくらいでしょうか。
これじゃ、販売員としての頑張りがしっかりと報われていない感じがして、不満も溜まりますよね。
なのに、大手を中心としたアパレル企業は改善しなかったんですよ。
で、ネットやSNSが普及してアパレル業界の不満がもっと明るみに出るように、、、。
結果が今です。
アパレルの販売スタッフはブラックな職場イメージになったり、人材確保に苦戦してサービスの質が低下したりの問題が起こってます。
うーん、残念です。
でもそれっておかしくない?
そう、ちょっとおかしいんですよ。おかしいと言うか特殊!
本にも書かれていますが、バブルの頃に右肩上がりだったアパレル業界は、作れば売れた時代。
だから大した経営に関する努力をしてこなかった。と指摘しています。
だから、今の厳しい、売れないと言われる時期こそが転換期。ガラガラポンをするタイミングなんですよ。
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アパレル業界の長い残業時間を改善するために!上司と社長に読ませたい本
販売スタッフこそ大切にされるべき
まずは意識改革から。
販売スタッフをこそが企業の宝。、、、と言ったら言い過ぎかな?いや、言い過ぎではない。
それぐらいの気持ちで、頑張ってセールスしてくれているスタッフをリスペクトするべきでしょう。
「これ、売れるの?」「売るの難しそう、、、」という商品が入荷してきても、なんらかの提案方法でセールスに結びつける。
商品を作ったのは自分ではないのに、セールスの責任を任される重要な役割。
売れよ、売れよと言われて必死に頑張る毎日。
そうやって個々のセールスの力で、毎日の売上の結果を何割もアップしてくれているのが販売員です。
もっと大切に、そして待遇よくされてもいいんじゃない?と思いますよね。
他業種でも営業の結果は給料に反映される
待遇をよくするなら、やっぱり1番に給料でしょう。
他業種でやっているなら、アパレル業界だけできないことはないはず。
ノルマがあってもいいですが、販売員の売上の結果が良ければその分をそのまま給料に反映しましょう。
もちろん、かなり売る力があるスタッフだったら、本部の偉いさんよりも稼ぐ人が出てくるかもしれません。
でもそれが普通のシステム。
売った人にはしっかりと見返りがある。単純ですけど、やっぱりこれが一番シンプルで効果的なスタイルですよね。
ブランドの顔こそ販売員でしょ
お客さんにとってブランドやセレクトショップでの買い物となると、実際に接客してくれる販売員のイメージがそのままブランドやショップのイメージになりがち。
気持ちのいい接客を受けたり、対応が良かったりしたら、そのブランドの格は上がるでしょう。
当たり前ですが、逆にサービスが悪ければ、雑誌やメディアでPRを行っていても悪いイメージがつくはず。
よく「ファッションは物を売るのではなくサービスや体験を売る」と言われていますが、これはブランドの価格帯が高ければ高いほど当てはまります。
なので、よりサービスや接客の質が高いスタッフが必要になるということ。
ルイヴィトンなどを扱うLVMHグループでは、いち早くスタッフの対応を良くし、研修制度なども豊富。
外資系企業や、高級ブランドなどは早い段階で気付いていたということです。
待遇や年収を良くすれば、良い人材が確保できますからね。
効率よくお客様サービスが向上できるということです。
「販売員こそ大切」に気づいてきた企業も
これまでの話を聞いて「アパレル業界の販売員ってダメじゃん」と思った方。ご安心ください。
世の中には、ちゃんとこの「販売員の大切さ」に気付いている企業もあります。
たぶんですが、さらに販売員の待遇改善を行う企業は今後増えていくでしょう。
ただ、残念ながら変わらない企業も一定数あると思います。最悪、潰れていく会社もあるかも。
なので二極化が起こります。
しっかりと販売員がリスペクトされて、働きやすい環境と自分の能力を発揮できる職場。
そして、そうじゃない職場。
現在、販売員をされている方は、前者の販売員の待遇を変えようとしている企業に転職することをオススメします。
それもできるだけ早い段階に。みんなが動き出してからだと、競争が激しくなりそうですからね。
例えば、こんな会社。代表的な事例をご紹介します。
この本の中ならワールドが事例
最初に紹介するのは、本の中でも出てきていた株式会社ワールド。
子会社を通じて、2017年春の新卒採用として販売スタッフを828人採用しています。
ショップとして現場で働くスタッフを人材派遣や契約社員などに頼らないで、正社員として配置。
待遇の改善や、ショップでのサービス向上を図ろうとしています。
また、同じように販売員への対策に動き出していたのは、三越伊勢丹。
ニュースなどでご存知の通り、初売りのセールスケジュールを変更したり、営業時間の短縮を試してみたり。
ショップで働くスタッフの長時間労働の改善に取り組んでいます。
それに、契約社員を無期雇用にするなどの雇用の面でもフォロー。
こういう動きは素直に嬉しいですよね。
ステュディオスも歩合制だ!
最近ファッション界隈で注目を集めたニュースがこちら。
人気セレクトショップであるステュディオスを運営するTOKYO BASE(トウキョウベース)。
年収700万円 新卒不採用からNo. 1販売員に駆け上がった25歳の正体は? https://t.co/H4dbDMTRvr #販売員 #給与 pic.twitter.com/mDW6QDDjjv
— Fashionsnap.com (@fashionsnap) 2017年5月16日
セレクトショップで働くスタッフに向けて導入された「スーパースターセールス制度」です。
簡単に説明すると、一定以上の売上で結果を出しているスタッフに対して、売上の10%を給与として還元する仕組み。
これにより、年収700万円を実現しているスタッフもいるというニュースです。
こういう売上の一部がスタッフの給料に反映されることこそ、本来の自然なルールでしょう。
TOKYO BASE(トウキョウベース)は、こういった改善などに対して積極的なイメージの会社ですが、続くように他のアパレル企業でも導入されていくような気がします。
だって、そうでもしないとみんなステュディオスで働きたくなって、良い人材はそちらに流れてしまいますからね。
なので、これからの方向性として、アパレル業界の働き方は変化していくはず。
もちろん、その対応が早い会社と遅い会社の二極化になることは必然です。
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【個人ノルマが無いショップへ】アパレルの転職で気をつけたいノルマの厳しさ
外資系ブランドは以前から
先ほどチラっと出てきたルイヴィトンなどを扱うLVMHグループなども、販売員への待遇は比較的良いと言われています。
それも、ブランドの顔としてお客様へのサービスや体験を提供する主役だと企業側が認識しているから。
もちろんLVMHグループだけでなく、外資系のファッションブランドも働きやすさで言えば、日本企業よりも良い場合が多いです。
あくまで全体的なイメージではありますが、海外の人が、日本の過酷なアパレル業界の働き方を目指したりしませんからね。
転職を考えている方なら、外資系ブランドを狙うことも方法のひとつですよ!
その他、販売員が働きやすい会社は?
このように、様々なブランドや企業で販売員の働く環境や待遇の改善が始まっています。
だから、「販売員として今の環境がイヤ!」という方もご安心を。
これから働きやすさは向上していくはず。
そして、見切りをつけてそう言った働きやすい職場に移ることも将来的な戦略のひとつでしょう。
上記の企業以外にも、ササっと調べてみて働きやすそうな企業をピックアップしてみました。
なお、使用したサービスは企業の口コミが集まる「キャリコネ」。
無料で企業で実際に働いた方からの口コミが集まり、観覧できるサービスです。
ピックアップしたの以下の3企業。もちろん、探せばもっとあるでしょう。
検索で簡単にチェックできるので、自分の気になるブランドを検索することもオススメします。
待遇の良さは有名「モンベル」
実際に働いた方からの評価ポイントが高く、アパレル業界に限らずとも他業種と比べても働きやすさが評価されている企業です。
アウトドアをベースにしているので、アウトドア好きの方なら自分の趣味を仕事に活かせる場所。
働いている方も、休みの日はアウトドアを楽しむ方が多く、仕事とプライベートの時間的な管理や理解が容易な気がします。
多趣味な人は増えていたり、家庭を持った時に家族との充実した時間もスキルも磨けるような職場。
将来的な自分の人生設計を考えたら十分魅力的な職場でしょう。
産休・育休が取りやすい「トゥモローランド」
トゥモローランドも特に女性が働きやすい職場として人気がありますよね。
僕も、東京で働いていた時は取引先にトゥモローランドがあって、よくやりとりをしていたのですが、女性が活躍している職場。
そして、産休や育休が取りやすそうな雰囲気でした。
担当者の方も、産休で交代、その後に復帰された方や、育児のために16時に退社される方など、働き方に関して工夫が感じられた企業です。
キャリコネのポイントでは労働時間が少し気になりますが、会社全体としては待遇はいいのでは?と思います。
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子持ちでもアパレル業界で働きたい!転職に必要な情報はどこで見つける?
ストレス度の低さ1位「スタートトゥデイ」
小売業のストレス度の低さランキングで3位にランクイン。アパレル業界では堂々の1位です。
口コミを見ても、働きやすさを挙げている人がいらっしゃいますね。
千葉という立地もあり、千葉県在住の方にも人気のある企業。
また、インターネットを軸にした企業なので、販売員としてのキャリアで続けることはできないかもしれませんが、経験を活かした仕事ができることでしょう。
IT系のファッション企業はこれから伸びる可能性が高いので、転職する戦略として伸び代のある会社を選ぶことも選択肢として賢いはず。
仕事のストレスって本当に参ってくるから、ストレス度が低いのはいいよね。という話です。
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【アパレル転職】ECやウェブ系求人はどうやって見つける?登録すべき転職サイトは?
このように、アパレル業界の会社で働いた方からの口コミがたくさん集まっています。
転職活動をする際は、活用してみましょう。
もちろん、今働いている会社を検索してみても面白いかもしれませんよ〜。
今の待遇に不満。なら販売員が活躍できる会社に転職しましょう!
ということで、一生懸命に毎日働いている間に、様々な企業は動き出しています。
もちろん、アパレル業界全体も動いている。
で、あなたはそのまま立ち止まる?それもと動き出す?
販売員をはじめ、アパレル業界で働くスタッフへの待遇はこれから二極化します。
それなら早い段階で、働きやすい職場に転職するのが将来的に良い選択でしょう。
じゃー、何から始めたらいいの?
その答えは情報収集から。
転職サイトに登録して、様々なブランドの求人情報を手に入れましょう。
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【転職成功法】アパレル業界は非公開求人をモノにすること!
アパレル業界で一番の規模「クリーデンス」
全国規模で広くアパレル業界の求人情報が集まるサイトといえば、やはり「クリーデンス」。
今回紹介した「誰がアパレルを殺すのか」でもクリーデンス代表のコメントが紹介されるなど、ファッション業界で重要なポジションを担う転職サイトです。
都内だけでなく大阪や福岡にも拠点があるので、カウンセリングなども容易。
そして、販売員に限らず様々な職種(デザイナーやプレス、バイヤーなど)の求人が集まるので、アパレル業界で転職するのなら、「クリーデンスともうひとつ別のサイト」などの組み合わせをオススメします。
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【失敗したくないから】クリーデンスの合格診断で自分の可能性を事前チェック!
口コミレポート!ファッション業界の転職エージェント「クリーデンス」を実際に使ってみた。転職までの流れはこんな感じ
販売員の非公開求人に強い「ファッショーネ」
都内を中心に関東のアパレル業界に特化した求人に強い「ファッショーネ」。
女性に人気があるのは、丁寧なケアとサービス。
渋谷のヒカリエにオフィスを構える、便利な立地が魅力です。
非公開求人を中心とした人気ブランドやエリアの求人を扱っているので、関東で転職を考えたらまず登録したいサイト。
特に販売員の求人が多数集まる転職サイトなので、より働きやすい職場を求める販売員方は必見。
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【ファッショーネに登録しよう!】アパレル業界での転職でかなり頼りになる存在ですよ
外資系ブランドなら「IDA」
ラグジュアリーブランドや外資系ブランドに興味がある方なら、「iDA(アイ・ディ・アクセス)」が得意とする分野。
派遣としての契約内容も多いですが、将来的に正社員となる前向きな契約も多く、自分の将来のために働けることが魅力です。
ブランドも、憧れのブランドから、高級ブランド、カジュアルショップなど様々。
公開求人もたくさんあり、登録なしでいろいろと検索が可能です。
会員登録することで、非公開求人も紹介してもらえるので、本格的に転職活動をする際に登録を!
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転職活動をした際に感じた「やっておけばよかったこと」個人的なまとめ
働きやすさは環境を変えると手に入る!
どんな業界でも同じで、働きにくい職場にいてストレスを溜めるなら、さっさと見切りをつけて転職するのが一番。
転職するなんて不安だ!って思う方は、そのまま状況が変わることなく嫌な仕事を続ける方が将来的に鬱じゃない?
それに、転職サイトに登録し、転職のプロである方にカウンセリングをしてもらうと未来が開ける気がして楽しいですよ。
なんて言うか、希望が開ける感じがします。
もちろん、今の仕事を続けながら転職活動も可能です。
アパレル業界が変化する今、自分も変わってみませんか?
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ライター:高嶋一行(Kazuyuki Takashima)
tokyosamplesale.com運営者。ロンドンファッションウィークを中心としたファッション取材記事を執筆中。
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